医療法人とは、病院、医師や歯科医師が常勤する診療所、介護老人保健施設の運営を目的とした法人です。 医療法人の根拠規定は医療法第6章であり、その冒頭の39条において社団と財団の2種類が認められています。
医療法人制度は、戦後間もない1950年(昭和25年)の医療法改正によって創設されました。医療法人制度制定前は、個人による医療機関が大多数を占めていましたが、医療施設資金を多数の出資者から集め、医業の高度化と効率化を図るために医療法人制度が設けられました。
一人医師医療法人とは、医師又は歯科医師が常時一名以上勤務する診療所などの医療機関で、都道府県知事などの認可を受けて設立される法人をいいます。一人医師医療法人は診療所の経営と家計を明確に分離し、地域社会で初期診療という重要な役割を担っている診療所機能の充実を図るとともに、医業の非営利性という観点から、出資に対する配当を禁止することにより、経営基盤の強化と組織の適正化・合理化を図ることを目的としています。この目的を達成するために昭和25年の医療法改正で初めて医療法人が創設されました。この時には3名以上の医師又は歯科医師が常勤していることが設立の要件でしたが、昭和60年の医療法の改正で医師一人でも法人を設立することができるようになりました。これを一人医師医療法人と呼び、その後個人開業医の法人化が飛躍的に進むことになりました。
医療法人の行える業務は、本来業務と附帯業務と附随業務です。
・本来業務とは、病院、診療所、介護老人保健施設の経営です。
・附帯業務とは、医療法第42条に規定されている業務で、看護専門学校、リハビリテーション専門学校、臨床医学研究所、メディカル・フィットネス、ケアハウス、有料老人ホームなどです。
・附随業務とは、病院に隣接する患者用駐車場経営、無償で行なう患者送迎、院内に設置する売店などです。
※開設する病院等の業務の一部として又はこれに附随して行われるものは収益業務に含まれず、特段の定款変更等は要しません。
医療法人の設立認可は、都道府県知事が行います。(注意:政令指定都市については市が窓口です。)医療法人の種類は、社団法人と財団法人があり、理事長は、原則として医師又は歯科医師でなければなりません。役員は理事が3名以上、監事が1名以上となります。認可は都道府県が窓口となり、設立説明会を年2回行い、この説明会以外で設立を行うことはできません。
※都道府県によって若干取扱いが異なりますので注意が必要です。
【役員になれない者】
成年被後見人や被保佐人で権利を制限されている者、医療法、医師法、歯科医師法等
の処分を受けている者や禁錮以上の刑に処されている者については、一定の期間医療法人の役員になることができません。
(医療法第46条の2第2項)
次の各号のいずれかに該当する者は、医療法人の役員となることができない。
一 成年被後見人又は被保佐人
二 この法律、医療法、歯科医師法その他医事に関する法令の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けなくなった日から起算して2年を経過しない者
三 前号に該当する者を除くほか、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者
【役員にふさわしくない者】
医療法人と関係のある特定の営利法人の役員が医療法人の役員として経営に参画していることは、非営利性という観点から不適当とされています。
【役員の任期】
医療法人の役員(理事・監事)の任期は、2年を超えることはできません 。ただし、再任することができます。
※役員の任期期間は、事業年度と同じではありませんので注意が必要です。